

小笠原青年の旅2025
旅の日程
2025年 8月18日(金)〜8月21日(木)
チャプレン 執事 藤田美土里
今年の旅は船の運航都合により、例年の9月ではなく8月15日(金)〜21日(木)という日程で実施いたしました。小笠原聖ジョージ教会のある小笠原諸島父島は、東京竹芝桟橋から1000キロ離れた太平洋上の島々のひとつです。「世界自然遺産」に登録雨された自然豊かなこの島は、東京都に属していながら交通手段は
おがさわら丸」の24時間に及ぶ航路のみ。「無人島(ぶにんじま)・ボニン(Bonin
Islands)と呼ばれるこの島々に最初に移住したのは1830年、欧米人でした。そして、小笠原聖ジョージ教会の歴史もこの方々から始まっています。ここは亜熱帯性気候の自然豊かな島ですが、戦後アメリカの占領下に置かれ、1968年に日本に返還してされるという歴史を持ちます。そのため今も戦争遺跡が数多く点在しています。戦後80年という節目に拘らず、ここでは森や浜辺から一歩茂みに足を踏み入れると至る所に戦争遺跡があり、青年たちは肌で歴史を感じる経験をします。今年も教区を越えた参加者総勢16名での旅となりました。皆さまのお祈りとお支えに心から感謝申し上げます。
皆様に豊かな平安がありますように。私は今回の旅の中で、生きることと死ぬことを何度も考えました。それは、私が考えようと意識したのではなく、自然と考えさせられたという方が正しいのかもしれません。
小笠原には南国の生きた自然が溢れています。一方で、小笠原には今もなお、戦争や痛みの痕が残っています。私は、この旅の中で、幾度も生きている喜びと、誰かを、何かを失くした悲しみを前にしました。その度、他者の酸いも甘いも綯い交ぜに噛み分けた経験に、思いを馳せることしか私にはできませんでした。そして、しばしばそれを受け止め続けることが難しく感じられました。現実を知る度、何度も自分一人の力では何もできないことを痛感させられたからです。しかし、それと同時に自分の無力さをあって良いものと思えるようになりました。それは、私が弱ければ弱いほど、私に寄り添ってくれるひとの、仲間の強さを知ることができたからです。これは、もしかすると私の中で、死んだとされていたものが生かされたということなのかもしれません。旅を終えた今、いただいたものに感謝をしつつ、もう一度歩みださせていただきたいと思います。恵みのうちに。

参加者の声



小笠原には私たちの想像する美しさを易々と超える神様の創造の神秘で満ち溢れています。透き通る青い海、地平線に沈んではまた昇る太陽、小笠原にしか生息しない動物たち。何度見ても圧倒される美しさの真横に、あの島で戦争によって多くの人々が闘った跡がそのまま残されています。私は小笠原で夕陽を見る度に美しさに感動しながらも、当時の人々は空を見てどんな気持ちだったのか、そして今私が享受している平和について考えさせられました。聖ジョージ教会は、「Chapel of Peace」という名の通り、平和の祈りが特込められた教会だと改めて思いました。平和とは、分裂を繰り返すこの世の中で、人々が手をとり、互いを思いやることで生まれることなのだと思います。そしてそれはまた、自身の心の中にもあるものでもあります。小笠原の旅で仲間と触れ合い、喜びも悲しみもみんなで分かち合うことが出来るのは、この旅ならではだと思います。共に感情を共有出来る仲間がいることは、なんとも喜ばしいことです。そしてそれは、今私たちが日々命を脅かされることがなく生きていけるから、成り立つことでもあります。どうか今後も小笠原という地が守られ、 小笠原に住む人々、 また、その地を訪れる人たちにも平和がありますように。人生の糧になる学びの機会を与えてくださる小笠原の旅を支えてくださる皆様に感謝いたします。
